MQTT 5.0 強化認証 - SCRAM
この認証機構は Salted Challenge Response Authentication Mechanism (SCRAM) を実装しており、EMQX の組み込みデータベースを使用してクライアント認証情報(ユーザー)を保存します。
SCRAM はパスワード認証よりも複雑な仕組みであり、接続時に追加の MQTT パケットのやり取りが必要です。SCRAM 認証は外部データソースに依存せず、シンプルかつ軽量に利用できます。
TIP
SCRAM 認証機構は MQTT 5.0 接続のみをサポートしています。
ダッシュボードでの設定
- EMQX ダッシュボードの左側ナビゲーションメニューで アクセス制御 -> 認証 をクリックします。
- 右上の 作成 をクリックし、Mechanism に SCRAM、Backend に Built-in Database を選択します。すると 設定 タブに移動します。
- 認証バックエンドの設定を以下のように行います:
- Password Hash:パスワードハッシュアルゴリズムを選択します。
sha256
またはsha512
。 - Iteration Count:SCRAM 認証でパスワードをハッシュ化する際の反復回数を定義します。反復回数が多いほど計算コストが増え、ブルートフォース攻撃に対する耐性が高まります。デフォルトは
4096
です。パフォーマンスとセキュリティのバランスを考慮して調整してください。 - Precondition:Variform 式で、クライアント接続に対してこの組み込みデータベース認証機構を適用するかどうかを制御します。式はクライアントの属性(
username
、clientid
、listener
など)に対して評価され、結果が文字列"true"
の場合のみ認証機構が呼び出されます。それ以外の場合はスキップされます。詳細は 認証の事前条件 を参照してください。
- Password Hash:パスワードハッシュアルゴリズムを選択します。
- 作成 をクリックして設定を完了します。
設定ファイルでの設定例
hcl
{
mechanism = scram
backend = built_in_database
algorithm = sha512
iteration_count = 4096
}
項目の説明:
algorithm
:パスワードハッシュアルゴリズム。sha256
またはsha512
を指定。iteration_count
(省略可):SCRAM の反復回数。デフォルトは4096
。
認証フロー
SCRAM 認証のフロー図