EMQXを始める
EMQXは、世界で最もスケーラブルかつ信頼性の高いMQTTメッセージングプラットフォームであり、ビジネスデータをリアルタイムで確実に接続、移動、処理するのに役立ちます。このオールインワンのMQTTプラットフォームを使えば、IoTアプリケーションを簡単に構築し、ビジネスに大きな影響を与えることができます。
本章では、EMQXのダウンロードとインストール方法、および組み込みのWebSocketツールを使った接続とメッセージングサービスのテスト方法をご案内します。
TIP
本クイックスタートガイドで紹介しているデプロイ方法のほかに、IoT向けの完全マネージドMQTTサービスであるEMQX Cloudもぜひお試しください。インフラ管理不要で、アカウント登録を行うだけで、すぐにMQTTサービスを開始し、IoTデバイスを任意のクラウドに接続できます。
EMQXのインストール
EMQXは、Dockerでの実行、EMQX Kubernetes Operatorによるインストール、またはコンピュータや仮想マシン(VM)にダウンロードパッケージでインストールすることが可能です。ダウンロードパッケージによるインストールを選択した場合、現在以下のOSがサポートされています。
- RedHat
- CentOS
- RockyLinux
- AmazonLinux
- Ubuntu
- Debian
- macOS
- Linux
上記以外のプラットフォームについては、EMQまでお問い合わせください。
また、EMQX Terraformを使ってクラウド上にワンクリックでデプロイすることも可能です。例として、Alibaba CloudやAWSがあります。
Dockerを使ったEMQXのインストール
コンテナによるデプロイは、EMQXを素早く試す最も簡単な方法です。本クイックスタートガイドでは、Dockerを使ったEMQXのインストールと起動方法を説明します。
最新版のEMQXをダウンロードして起動するには、以下のコマンドを入力してください。
事前にDockerがインストールされ、起動していることを確認してください。
bashdocker run -d --name emqx -p 1883:1883 -p 8083:8083 -p 8084:8084 -p 8883:8883 -p 18083:18083 emqx/emqx-enterprise:latest
Webブラウザを起動し、アドレスバーに
http://localhost:18083/
(localhost
はIPアドレスに置き換え可能)を入力してEMQXダッシュボードにアクセスします。ここからクライアントの接続や稼働状況の確認が可能です。デフォルトのユーザー名とパスワード:
admin
public
インストールパッケージを使ったEMQXのインストール
コンピュータやVMにインストールパッケージを使ってEMQXをインストールし、設定の調整やパフォーマンスチューニングを行うことも可能です。以下の手順はmacOS 15(Sequoia)およびarm64アーキテクチャ(Apple Silicon)を例に説明しています。
TIP
すべてのランタイム依存関係を考慮すると、テストやホットアップグレードにはインストールパッケージの使用を推奨しますが、本番環境での使用は推奨しません。
公式ダウンロードサイトのmacOSタブにアクセスします。
最新バージョン
5.10.0
を選択し、Package TypeからmacOS 15 arm64 / zip
を選びます。下のリンクをクリックしてパッケージをダウンロードし、インストールします。ページ内のコマンド説明も参照できます。
EMQXを起動するには、以下を実行します。
bash./emqx/bin/emqx foreground
これによりインタラクティブシェルでEMQXが起動します。シェルを閉じるとEMQXも停止します。
なお(推奨しませんが)、以下のコマンドでバックグラウンド起動も可能です。bash./emqx/bin/emqx start
Webブラウザを起動し、アドレスバーに
http://localhost:18083/
(localhost
はIPアドレスに置き換え可能)を入力してEMQXダッシュボードにアクセスします。ここからクライアントの接続や稼働状況の確認が可能です。デフォルトのユーザー名とパスワードは
admin
とpublic
です。ログイン後にパスワード変更を求められます。EMQXを停止するには、以下を実行します。
bash./emqx/bin/emqx stop
テスト終了後にEMQXをアンインストールするには、EMQXフォルダを削除するだけです。
MQTTXで接続を検証する
EMQXの起動に成功したら、MQTTXを使って接続とメッセージサービスのテストを続けて行えます。
MQTTXは、macOS、Linux、Windowsで動作する洗練されたクロスプラットフォームのMQTT 5.0デスクトップクライアントです。チャットスタイルのUIで複数のクライアント接続を素早く作成・保存でき、MQTT/MQTTS接続やメッセージのサブスクライブ・パブリッシュのテストが可能です。
ここでは、アプリのダウンロードやインストール不要で使えるブラウザベースのMQTT 5.0 WebSocketクライアントツールであるMQTTX Webを使った接続検証方法を紹介します。
前提条件
接続テスト前に以下の情報を準備してください:
- EMQXアドレス:一般的にはサーバーのIPアドレス
- ポート:ダッシュボードの左メニューから Management -> Listeners をクリックし、ポート番号を確認
接続の作成
MQTTX Webにアクセスします。
MQTT接続の設定と確立を行います。+ New Connection ボタンをクリックして設定画面を開きます:
Name:接続名を入力します。例:
MQTTX_Test
Host
- プロトコルタイプをドロップダウンリストから選択します。WebSocketプロトコルを使う場合は
ws://
を選択してください。MQTTX WebはWebSocketプロトコルのみサポートしています。SSL/TLS接続をテストする場合は、MQTTXデスクトップクライアントをダウンロードしてください。 - EMQXアドレスを入力します。例:
emqx@127.0.0.1
- プロトコルタイプをドロップダウンリストから選択します。WebSocketプロトコルを使う場合は
Port:例としてWebSocketプロトコル用の
8083
他の項目はデフォルトのままか、ビジネス要件に合わせて設定してください。各項目の詳細はMQTT User Manual - Connectを参照してください。
画面右上の Connect ボタンをクリックします。
メッセージのパブリッシュ/受信をテストします。チャットエリア右下の送信アイコンをクリックすると、送信に成功したメッセージがチャットウィンドウに表示されます。
トピックのパブリッシュとサブスクライブ
接続が成功したら、続けて異なるトピックのサブスクライブとメッセージのパブリッシュを行えます。
+ New Subscription をクリックします。MQTTX Webは設定に基づき、QoSレベル0でトピック
testtopic/#
をサブスクライブします。この手順を繰り返して異なるトピックをサブスクライブでき、MQTTX Webはトピックごとに色分けして区別します。チャットエリア右下の送信アイコンをクリックしてメッセージのパブリッシュ/受信をテストします。送信に成功したメッセージがチャットウィンドウに表示されます。

さらに、一方向/双方向SSL認証のテストやカスタムスクリプトによるテストデータのシミュレーションなどを行いたい場合は、MQTTXを使って引き続き検証できます。
ダッシュボードでメトリクスを確認
EMQXダッシュボードのクラスター概要ページでは、Connections、Topics、Subscriptions、Incoming Messages、Outgoing messages、Dropped Messagesなどのメトリクスを確認できます。
次のステップ
ここまででEMQXのインストール、起動、アクセスのテストが完了しました。次は、認証と認可やルールエンジンとの連携など、EMQXのより高度な機能を試してみてください。
よくある質問
EMQ Q&Aコミュニティでは、EMQXやその他EMQ関連製品の使い方に関する議論、質問・回答、IoT関連技術のユーザー同士の情報交換が行えます。また、専門的な技術サポートが必要な場合は、いつでもお問い合わせください。